冬のバイクのバッテリー上がり対策と充電の基本3つ
12月や1月、数週間ぶりにバイクを出してセルを押したら、「キュル……キュル……」と明らかに元気がない。夏までは普通だったのに、冬になった途端にこんな症状が出ることがあります。
冬のバッテリー対策というと「たまにエンジンをかければ大丈夫」と思いがちですが、話はそれほど単純ではありません。バッテリーは乗らなくても少しずつ放電しますし、車両につないだままなら時計やECUなどがわずかに電気を使う車種もあります。そこへ低温が重なると、始動に使える余裕が一気に小さくなります。
やること自体は難しくありません。しばらく乗らないなら補充電を考える。端子の緩みや腐食を見る。長期保管なら、車種に合った方法でバッテリーを切り離す。この3つを押さえておくだけでも、久しぶりに乗る朝の「セルが回らない」は避けやすくなります。
※この記事は一般的な12Vの鉛バッテリー/VRLA(密閉型)を中心に説明しています。リチウム系バッテリーは充電・保管方法が異なるため、バッテリーと車両の取扱説明書を優先してください。
冬は「放電」と「寒さ」と「始動の負担」が重なる

バッテリーは使っていなくても自己放電します。さらにバイクに載せたままなら、車種によっては時計、イモビライザー、ECUなどの待機電流もあります。1日ではわずかでも、乗らない期間が長くなるほど無視しにくくなります。
冬はそこへ低温が加わります。鉛バッテリーは温度が下がると化学反応が鈍くなり、電気を取り出す力が落ちます。その一方、冷えたエンジンは始動時の抵抗が増えるため、セルモーター側は楽になるどころか厳しくなります。
つまり「冬は自然放電が急に増えるから上がる」というより、減ってきたバッテリーで、寒いエンジンを始動しなければならないことが問題です。秋までは何とか始動できていた弱ったバッテリーが、冷え込んだ朝に急に限界を見せることもあります。
セルの回り方が普段より遅い、始動時にメーターやライトが大きく暗くなる、といった変化が出ているなら、「まだ始動できるから大丈夫」と何度もセルを回すより、バッテリーの状態を確認するタイミングです。
しばらく乗らないなら「たまに始動」より補充電を考える

冬に数週間から1か月以上乗らないことが分かっているなら、まず取扱説明書の長期保管方法を確認しておくと安心です。バイク用バッテリーメーカーも、長期間乗らない場合はマイナス端子を外すことや、長期保管後に充電してから使用することを案内しています。
ここで迷いやすいのが、「週末に5分くらいエンジンをかけておけば充電できるのでは?」という方法です。
エンジンが動いていれば発電はしますが、アイドリング時の発電量や車両の電装品が使う電力は車種によって違います。しかも始動時にはセルモーターで大きな電力を使います。短時間のアイドリングだけで、始動に使った分まで毎回きちんと取り戻せるとは限りません。
乗れる天候なら、エンジンやタイヤをきちんと暖めながら通常走行するのも一つの方法です。ただ、凍結や積雪で乗れない時期にバッテリーのためだけに始動を繰り返すより、対応する充電器で補充電するほうが状態を管理しやすいでしょう。
毎週充電する、1か月ごとに充電する、と一律に決める必要はありません。車両の待機電流、バッテリーの容量・年数、保管温度で放電の速さは変わるからです。車両とバッテリー、使用する充電器の説明書に指定があれば、その周期を優先します。
充電器は「12Vなら何でも同じ」ではない

充電器を買うときは、電圧だけで決めないほうが安全です。まず自分のバイクに載っているバッテリーの種類と型式を確認します。
現在のバイクではVRLAと呼ばれる密閉型の鉛バッテリーが広く使われていますが、開放型の鉛バッテリーや、社外品のリチウム系バッテリーへ交換されている車両もあります。必要な充電方法は同じではありません。
選ぶときに確認したいのは、「12V対応」だけではなく「自分のバッテリー種類に対応しているか」です。VRLA/AGMへの対応、適合する容量範囲、維持充電(メンテナンス充電)が可能か、といった仕様を確認します。リチウム系の場合は、そのバッテリーメーカーが認めた充電器・充電モードを使います。
長期保管なら、満充電付近になると充電を制御し、その後の状態を監視できるメンテナータイプは便利です。ただし「つなぎっぱなしにできるか」も製品仕様によります。普通の充電器を自己判断で何週間も接続したままにするのは避け、説明書どおりに使ってください。
端子は「腐食」だけでなく「緩み」も見る

セルの勢いが弱いと、すぐバッテリー本体を疑いたくなります。ただ、端子の接触状態が悪くても始動時の大電流が流れにくくなり、似た症状が出ることがあります。
シートを外してバッテリーが見える車種なら、まず目で確認します。端子のボルトが明らかに緩んでいないか。ケーブルがずれていないか。端子周辺に白っぽい粉や青緑色の腐食が出ていないか。このくらいなら工具を使う前でも確認できます。
端子の緩みや腐食は、充電するときにも放置したくない部分です。GSユアサも、充電前に端子締め付け部の緩み・腐食を確認するよう案内しています。
軽い汚れなら適切な手順で清掃できますが、腐食がひどい、端子が変形している、ケースが膨らんでいる、液漏れの跡がある、といった場合はそのまま充電せず販売店へ相談したほうが安全です。火花や火気もバッテリーには近づけません。
バッテリーを外すなら「マイナスから」が基本

長期間乗らない場合、車両からバッテリーを取り外して保管する方法があります。Hondaの二輪車取扱説明書でも、長期保管時にバッテリーを取り外して充電・保管し、車載のままならマイナス側ターミナルを外す例があります。
一般的な12Vバッテリーを車体から切り離すときは、マイナス(−)側を先に外し、その後プラス(+)側。取り付けは逆に、プラス側を先に接続してからマイナス側を接続するのが基本です。
マイナスを先に外すのは、工具によるショートのリスクを下げるためです。プラス端子を外している最中に工具が車体の金属部分へ触れると、マイナス側がつながった状態では短絡する可能性があります。
とはいえ、バッテリーの位置やカバーの外し方、端子へのアクセス方法は車種ごとに違います。時計や各種設定がリセットされる車両もあります。実作業は愛車の取扱説明書を確認し、工具がフレームや両端子へ同時に触れないよう注意してください。
外したバッテリーは倒したり金属物を端子の上へ置いたりせず、メーカーが指定する環境で保管します。
久しぶりに乗る日は、セルを押す前に少し見る

春先や冬の晴れ間に久しぶりに乗るとき、いきなりセルを長く回し続ける必要はありません。まずバッテリー端子がきちんと接続されているか、充電器を外したか、目立つ液漏れやケースの異常がないかを確認します。
始動してセルの回りが明らかに遅いなら、何度も繰り返して完全に放電させる前に一度止めます。充電してもすぐ弱くなる、満充電にしても始動できない、といった場合はバッテリーの劣化だけでなく、車両側の充電系統など別の原因も考えられます。
エンジンがかかったらバッテリーだけで終わりではありません。長く置いたバイクなら、タイヤ空気圧、タイヤの状態、ブレーキ、灯火類、オイルや冷却水など、取扱説明書にある日常点検も一緒に確認してから走り出します。
冬のバッテリー管理で目指したいのは、毎週何かをすることではなく、「次に乗る日まで放置してしまう」をなくすことです。冬にほとんど乗らない人ほど、シーズン前に一度だけ充電器と保管方法を決めてしまうと楽になります。
よくある質問
Q. 1か月乗らなければ必ずバッテリーは上がりますか?必ずではありません。新品に近いバッテリーと劣化したバッテリーでは余裕が違いますし、車両の待機電流や保管温度でも変わります。ただし長期間乗らないことは放電の原因になるため、乗らない期間が分かっているなら事前に保管方法を決めておくほうが安心です。
Q. 週に一度、5分だけエンジンをかければ大丈夫?
それだけで十分とは言い切れません。始動そのものに大きな電力を使い、アイドリング時の発電量と電装品の消費量は車種で違います。バッテリー維持だけが目的なら、適合する充電器で状態を管理するほうが分かりやすい方法です。
Q. 充電器はつなぎっぱなしでいい?
「維持充電・メンテナンス充電に対応し、長期接続が認められている製品」なら可能なものがあります。ただし全ての充電器が対応しているわけではありません。バッテリー種類への適合とあわせて、充電器の説明書を確認してください。
Q. マイナス端子だけ外しておけばいい?
長期保管時にマイナス側ターミナルを外す方法を案内しているメーカー・車種はあります。ただし車両によって保管手順や注意事項が異なるため、自分のバイクの取扱説明書を優先します。完全に取り外して保管する指定なら、その手順に従います。
Q. リチウムバッテリーでも同じ充電器を使えますか?
自己判断で共用しないほうが安全です。リチウム系は鉛バッテリーと充電条件が異なります。現在装着しているバッテリーの型式を確認し、メーカーが指定または適合を明記している充電器・モードを使用してください。
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