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薄暮の高速道路の路肩に停車した車と三角表示板

発炎筒と三角表示板の使い方|高速で止まった時の手順と点検

助手席の足元にある赤い筒を、一度も触ったことがないまま何年も運転している人は多いはずです。発炎筒と三角表示板は、使う日が来ないのが一番いい道具ですが、必要になる瞬間は突然来ます。路肩に止まった車の中で初めて説明書きを読む余裕は、たぶんありません。

高速道路で止まったときの動き方、発炎筒の着火手順、三角表示板の「出す義務」、そして年に一度の点検。この順で整理します。

呼び方について先にひとつ。「発煙筒」と呼ばれることが多いですが、正式名称は「自動車用緊急保安炎筒」で、業界団体の表記は「発炎筒」。煙ではなく炎の光で危険を知らせる道具です。この記事でも発炎筒と書きます。

高速で止まったら、合図より先に人をガードレールの外へ

高速道路で止まった時の4ステップ(路肩に寄せる・避難・合図・通報)の図

発炎筒と三角表示板の話の前に、順番の話です。JAFやNEXCOが案内している基本の流れはこうなっています。

  1. ハザードランプを点けて、路肩か非常駐車帯に寄せる
  2. 同乗者をガードレールの外側へ避難させる
  3. 発炎筒を着火し、三角表示板を車の後方に置く
  4. 通報する(道路緊急ダイヤル#9910、110番、高速道路の非常電話)

合図が3番目なのには理由があります。守るべきは車ではなく人で、停車直後の車内や車の周りが一番危ないからです。三角表示板を出すことに気を取られて本線側を歩いてしまうと、合図を出す前に後続車と接触しかねません。設置のために車の後方へ歩くときも、ガードレールの外側か路肩の端を通ります。

出先で車が止まる原因では、タイヤとバッテリーが定番です。バッテリーは止まる前にだいたいサインが出ています。気になる人は車のバッテリー弱りサイン5選と点検の基本へ。

発炎筒の着火はマッチと同じ。燃える時間は5分

発炎筒のキャップの擦り板で先端を擦って着火する手元

発炎筒は多くの車で助手席の足元付近に専用ホルダーで付いています。自分の車のどこにあるか、今日のうちに一度見ておくと当日探さずに済みます。

使い方はマッチとほぼ同じです。

  1. 本体を持ち、キャップをひねりながら抜く
  2. 抜いたキャップを本体の下側に差し込む(持ち手が長くなる)
  3. キャップに付いている擦り板で、本体先端の発火部を擦る
  4. 着火したら、後続車から見える路面に置いてすぐ離れる

日本保安炎筒工業会によると、JIS規格の発炎筒は赤い炎で5分以上燃え、昼間は600m以上、夜間は2km以上先から視認できます。5分は意外と短い。燃えている間に三角表示板の設置と避難まで終える、と覚えておくと動きに迷いません。

ガソリン臭がするなど燃料漏れの疑いがあるときは、発炎筒は使わないでください。火を使わないLED非常信号灯なら、この場面でも使えます。

三角表示板に積む義務はない。ただし高速では「出す義務」がある

停止車両の後方に三角表示板を置く位置関係を上から見た図

三角表示板(法令上の名前は「停止表示器材」)のルールは、少しねじれた構造をしています。

  • 車に積んでおく義務:ない
  • 高速道路・自動車専用道路で停止したときに表示する義務:ある(道路交通法第75条の11、同施行令第27条の6)

積んでいなくても、走っている分には違反になりません。ところが高速で止まった瞬間、「出せないと違反」に変わります。表示しなかった場合は故障車両表示義務違反で、普通車は反則金6,000円・違反点数1点。もっとも、反則金より怖いのは後続車が気づくのが遅れることのほうです。

置く位置は、JAFの案内では停止車両の50m以上後方が目安とされています。法令に具体的な距離の定めはないので、地形に合わせて調整します。カーブの先で止まったときは、カーブの手前側に置かないと後続車から見えません。

三角表示板は折りたたみ式で、初めてだと組み立てに手間取ります。一度家で開いてみると、構造が分かって本番で迷いません。ケースごとトランクの床下に入っている車も多いので、置き場所の確認もセットで。

一般道では表示義務はありませんが、夜間や見通しの悪い場所では出しておく価値があります。

点検は年1回、有効期限と置き場所を見るだけ

助手席足元のホルダーから発炎筒を取り出して点検する様子

発炎筒には有効期限があります。JIS D 5711で4年と定められていて、本体の側面に期限が印字されています。期限が切れると火薬が劣化して、擦っても点火しないことがある。使えない発炎筒を積んでいても、いざという時には役に立ちません。

車検との関係にも触れておきます。非常信号用具の備え付けは道路運送車両の保安基準第43条の2で義務付けられていて、日本保安炎筒工業会は、有効期限切れの発炎筒はJIS規格の性能を満たさず交換の対象になると案内しています。車検のタイミングで交換されることが多いですが、車検を待つ理由は特にないので、切れていたら交換。カー用品店やホームセンター、整備工場で購入・交換できます。

交換の選択肢としてLED非常信号灯もあります。電池式で有効期限がなく、火を使わないので燃料漏れの場面でも使える。保安基準適合品なら発炎筒の代わりとして車検にも対応します。ただし今度は電池の残量と液漏れという管理項目が増えるので、「期限を見るか、電池を見るか」の違いと考えるのが実態に近いです。

点検は年1回、洗車のついでで十分です。見るのはこれだけ。

  • 発炎筒の有効期限(LED式は電池残量と液漏れ)
  • 発炎筒がホルダーにきちんと収まっているか
  • 三角表示板のケース割れ・反射面の汚れ
  • 三角表示板をどこに積んだか、すぐ言えるか

最後の項目は冗談のようですが、床下収納やシート下に入れたまま場所を忘れると、当日荷物を全部下ろして探すことになります。

期限切れの発炎筒は火薬類なので、家庭ごみに出すのは避けてください。業界団体の回収の仕組みがあるので、交換時に購入店や整備工場へ引き取りを相談するのが確実です。

車に積んでおくものを見直すなら、車載工具セットに追加したいアイテムの選び方の基準も参考になります。

よくある質問

Q. 「発煙筒」と「発炎筒」はどちらが正しい?

正式名称は「自動車用緊急保安炎筒」で、正しい表記は発炎筒です。煙ではなく炎の光で知らせる道具なので「炎」の字を使います。会話では発煙筒で通じますが、店頭で探すときは「発炎筒」「非常信号用具」の表記が目印になります。

Q. 発炎筒の期限が切れたまま車検を受けるとどうなりますか?

日本保安炎筒工業会は、有効期限切れの発炎筒はJIS規格の性能を満たさないため保安基準に適合せず、交換の対象になると案内しています。検査の現場での扱いには差があるという情報もありますが、期限切れは点火しない恐れがある以上、車検の合否に関係なく交換したほうが安全です。

Q. LED非常信号灯があれば三角表示板は要りませんか?

別の道具です。LED非常信号灯は発炎筒(非常信号用具)の代わりになるもので、三角表示板(停止表示器材)の代わりにはなりません。停止表示器材として使える「停止表示灯」という製品は別にあるので、購入時はパッケージの適合表記を確認してから選んでください。

Q. 一般道で止まったときも三角表示板は出すべきですか?

法律上の義務はありません。ただ、夜間・雨天・カーブの先など後続車から気づかれにくい状況では、出しておく価値があります。JAFも安全確保のための設置を推奨しています。

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